8月銅市況動向
世界的な景気減速懸念が重し
上旬に2年2か月ぶり安値
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)がまとめた2019年の銅市況動向で、景気減速懸念と銅需要の弱まりを背景にロンドン金属取引所(LME)の銅相場は上旬に2年2か月ぶりの安値水準となった。
月初は5,876.0ドルで開始。1日、トランプ米大統領が第4弾の対中関税引き上げを9月に発動すると表明したことで、景気減速懸念が拡大。また、アルセロール・ミタルが2019年世界鉄鋼需要見通しを、1~1.5%増から0.5~1.5%増に下方修正したことで、銅需要減退が意識され、5日には2年2か月振り安値の5,647.0ドルまで下落した。
中旬は、ドル安の影響を受けて5,724.5ドルへと持ち直した後、5,700ドル前後で推移。ただ、15日と16日に韓国・釜山やオランダ・ロッテルダム等のLME倉庫で在庫が大幅に増加したことで、銅価格の上昇が抑えられた。
銅相場は、下旬に入ると下落基調に。米中貿易摩擦の解決の糸口が見えない中、中国製造業の減速感で中国の銅需要減退懸念で緩やかに下げた。月末に一時上昇したものの、5,696.0ドルで月をまたいだ。
主要鉱山操業状況では、グレンコアが、コバルト価格の下落等を受け、コンゴMutanda鉱山の生産を年内に休止予定と7日に発表した。
関連情報では、ペルーエネルギー鉱山省鉱業審議会がサザンカッパーのTia Maria銅プロジェクトの建設許可について最大120日間の一時停止を10日に決定。これに伴い、ペルー国家港湾庁は、翌11日に停止していたMatarani港からの銅精鉱輸出を再開したと現地で伝えられた。コデルコは14日、チリ・チュキカマタ鉱山の坑内採掘を正式に開始と発表した。
アイバンホー・マインズは18日、コンゴKamoa・Kakula銅鉱床のボーリング調査で銅品位18%の銅鉱床に着鉱と発表した。今後、精度の高い室内分析を実施する予定。