8月ニッケル市況動向
インドネシアの鉱石輸出禁止前倒し
供給懸念から5年ぶりの高値水準に
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)がまとめた8月のニッケル市況動向で、供給懸念が急速に高まったことで、ロンドン金属取引所(LME)のニッケル相場は一時、5年来の高値水準を記録した。
ニッケル相場は1日、14,290.0ドルでスタート。ニッケル鉱石主要生産国のインドネシアでは2022年に未加工鉱石の輸出を再度禁止する方針を前倒しするとの報道が流れた。同国からの供給が懸念され、6日に15,020.0ドルまで上昇。その後も中旬までは供給懸念から上昇傾向をたどった。
中旬以降は米中貿易交渉に進展が見られないこと等を受け軟調に推移した。24日、パプアニューギニア・Ramu鉱山/製錬所で廃滓の河川流出事故が発生し、同製錬所の閉鎖の可能性も報道されたことから28~29日にかけてニッケル相場は上昇した。
月末30日には、インドネシアのエネルギー鉱物資源大臣がニッケル鉱石輸出禁止措置の発動を2020年1月に前倒しにする政省令に署名したとの報を受け、供給懸念が急激に高まりニッケル相場は前日比+9.27%と大幅上昇。約5年ぶりの高値となる17,860.0US$/tをつけて月をまたいだ。
主要鉱山操業状況 は、中国企業が株式保有するMCC Ramu NiCoがパプアニューギニアで操業するRamu鉱山/製錬所(年産能力32万6,000トン)で廃滓の河川流出事故が発生。地元の州知事や地元住民は、即時の操業停止を要求した。
このほか、オーストラリアンマインズは6日、クイーンズランド州で2021年の稼働を予定するSconiプロジェクトで生産する硫酸ニッケル・硫酸コバルトのオフテイク売却契約を韓国・SK イノベーションと締結した。