独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)がまとめた2019年9月のニッケル市況動向は、インドネシアによる鉱石禁輸開始時期の前倒しを受け、ロンドン金属取引所(LME)一時約5年来の高値水準となった。
8月30日にインドネシア政府がニッケル鉱石禁輸措置の2年前倒しを発表したことを背景に、ニッケル鉱石のタイト感が懸念され、月初は1万8,625.0ドルと約5年ぶりの高値でスタートした。その後は投機筋による売りも入ったものとみられ、1万7,000ドル台まで下落した。
中旬以降は、16日発表の中国8月鉱工業生産が17年半ぶりの低水準となり、中国における金属需要の低迷が懸念されたことが材料視され、17日には月内最安値の1万7,000.0ドルをつけた。また、23日発表のユーロ圏製造業購買担当者指数(PMI)、ドイツ製造業PMIともに予想を下回る低調な結果となり、世界的な経済低迷が意識されたことも後半の価格低迷要因となった。その後、LMEニッケル相場は価格の上下動を繰り返し方向感のない値動きとなり、1万7,570.0ドルで越月した。
主要鉱山操業状況では、豪州のファースト・クオンタム・ミネラルが、2020年上半期に豪西オーストラリア州レーベンズソープのニッケル・コバルト鉱山の操業を再開すると6日に発表。同鉱山は、市況の低迷を理由に2017年10月から操業停止していた。ブラジルヴァーレは、Onça Puma鉱山および製錬所の操業再開を13日に発表した。同鉱山は2017年9月、製錬所は2019年6月に近隣河川の汚染を理由にそれぞれ操業停止を命じられていた。