独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)がまとめた2019年9月の金市況動向は、月初オンス当たり(以下同)1,524.65ドルでスタート。英議会下院が4日、EUからの合意なき離脱を目指すジョンソン首相の動きを阻止する法案を可決。この結果、リスク回避資金が流入し、2019年最高値の1,542.45ドルをつけた。
米中両国の通商交渉が10月初旬に再開との報道を受け、5日から下落基調に転じたが、貿易摩擦解消には至っていない現状から下げ幅は限定的。米国の消費者物価指数や失業保険受給者・新規申請件数等の経済指標が比較的好調だったことから、1,500ドル前後で推移した。
18日、米国連邦準備理事会(FRB)が7月に続く利下げを発表、1,500ドルUSを割り込んだ。また、20日には米中の次官級協議で中国側が予定を切り上げ帰国との報道があり、24日にはトランプ大統領が国連一般討論演説で中国を批判、米中関係改善への期待感が薄れたことで一時上昇したが、その後米中双方の歩み寄りで危機ムードが薄れ、当月最安値の1,486.45ドルで越月。
また、2019年9月のプラチナ市況動向は、8月27日、中国国務院が流通の発展加速と消費促進に関する意見で消費拡大策を発表、自動車販売回復への期待感から8月末より上昇基調が続き、オンス当たり(以下同)932.0ドルでスタート。香港の民主化を巡るデモや英国の「合意なき離脱」騒動により上昇し、5日には2019年最高値の979.0ドルをつけた。その後は金につられて950ドル前後の横ばいで推移、30日には当月最安値の912.5ドルで越月した。
2019年9月のパラジウム市況動向は、南アフリカで7月から続く労働組合AMCU(鉱山労働者・建設組合連合)とAnglo Platinum社、Sibanye-Stillwater社の労使交渉が決裂。供給不足が加速するとの思惑から買いが続伸。9月も高値圏かつ上昇基調で推移した。当月最安値のオンス当たり(以下同)1,529.0ドルでスタート、30日には過去最高値を更新する1,682.5ドルで越月した。