DOWAホールディングスのグループ会社、DOWAエコシステム(飛田実社長)は、タイの3子会社(Waste Management Siam社(WMS)、Bangpoo Environmental Complex社(BPEC)、Eastern Seaboard Environmental Complex社(ESBEC))で有害廃棄物の焼却処理を拡大するとともに、新たにハイブリッド自動車や電気自動車(HV/EV)用の廃電池リサイクルを開始する、と発表した。また、廃棄物発電への燃料供給も開始する。これらにより、タイにおける環境・リサイクル事業を大幅に拡充し、多様化する廃棄物処理・リサイクルニーズに対応していく考えだ。
BPECは流動床式焼却設備と発電設備を保有し、主に非有害廃棄物の焼却処理と熱回収・発電を行ってきた。2017年にはフロンやエアバッグに処理品目が限定された制限付きの有害廃棄物認可を先行して取得し、これらの焼却処理を開始したが、今回、タイ当局から有害廃棄物焼却処理の増量認可(固形物30トン/日、廃液60トン/日)を取得。これにより、2019年10月から有害廃棄物の受入と処理を大幅に拡大する。今後はさらに発展が見込まれる化学工業分野を中心に、有害廃棄物の廃液や汚泥などの受入を拡大していく計画だ。
タイではHV/EV化が進展し、HV/EV用電池の現地生産の拡大が見込まれている。また、それらの変化に伴って、廃電池の適正処理システムの構築が重要な課題となりつつある。そのため、タイ政府は自動車リサイクルや廃電気・電子製品(WEEE)など、各種リサイクルの制度整備を推進している。BPECは、これらの有害廃棄物処理の増量認可取得に合わせ、新たに専用の焼却炉を導入し、2019年10月からリチウムイオン電池などHV/EV用廃電池の熱処理とリサイクルを開始する。廃電池などの有害廃棄物の処理能力拡大を通じて、タイでの適正処理と資源循環システムを構築していく。
タイでは多くの廃棄物が埋立処分されてきたが、こうした中、タイ政府は電力固定価格買取制度(FIT)や再生可能エネルギー規制の見直しを進めており、廃棄物の燃料への活用が急速に進んでいる。廃棄物発電所プロジェクトの一つを進めているのが、WHA Utilities and Power Public Company Limited社とGlow Energy Public Company Limited社、SUEZ社の合弁企業であるChonburi Clean Energy Company Limited社(CCE)。同社はタイ東部のチョンブリ県に最新の廃棄物発電技術を導入した8.63MWの発電所の建設を進めており、2019年末に工業系の非有害廃棄物の受入と商業運転を開始する予定だ。
WMSはタイ国内に複数の輸送拠点を保有し、BPECおよびESBEC向けに年間約22万トン(2018年実績)の廃棄物を集荷している。今回、グループのネットワークを活用し、CCEの新発電所の燃料として年間約10万トンの非有害廃棄物の供給を開始する。
これによりタイにおける「埋立処理ゼロ化」ニーズへの対応も拡大していく。また、WMSはさらなる顧客の利便性向上を図るため、既存のBPECやESBECと連携することにより、それぞれの処理拠点が相互にバックアップできる安定的な廃棄物の受入体制を強化していく。