タツタ電線(宮下博仁社長)は、29日、2019年4-9月期決算を発表した。期間の売上高は29,127百万円で前年同期比2.9%減となった。営業利益は2,048百万円で前年同期比23.0%減、経常利益は2,067百万円で前年同期比23.4%減となっている。親会社株主に帰属する四半期純利益は1,429百万円で前年同期比28.1%減と大幅な減益となった。この期間、日本経済は、企業収益が底堅く推移、雇用環境も改善したが、設備投資をはじめ、生産や輸出は足踏み状態で弱さがみられた。世界経済も総体としては緩やかに回復しているものの、米中の貿易摩擦が長期化、これに伴う需要減少が、なお続いている。資源価格の面では、原油価格、銅の国内建値は、ともに期首一旦上昇したが、その後、概ね下落基調で推移。銅国内建値平均価格は前年同期を下回る水準となった。
インフラ向けの電線需要は堅調に推移し前年同期比で増加しているが、機器用電線の需要は米中貿易摩擦に端を発する厳しい状況が続いており、同社の電子材料分野主力製品である機能性フィルムも需要の回復が遅れた。
米中貿易摩擦や半導体需要の低迷など先行きが不透明な状況にあって、営業利益3,550百万円と中期計画(目標営業利益5,400百万円)に対して大幅な未達となる見通し。中長期的に同社グループが提供する製品やサービスに対する需要は、IoT化、AI化の進展に伴い高度化しつつ増大すると同社では見ており、引き続き利益追求事業における高機能製品増産体制の整備、コストの削減、成長追求事業における新製品の開発促進等に取り組み、2025長期ビジョンの目標達成に邁進するとしている。
セグメントごとの業績の概況は次のとおり。
<電線・ケーブル事業>インフラ向け電線の需要は堅調に推移、販売量が増加(前年同期比5%増)したものの、機器用電線需要が貿易摩擦に伴い低迷した。売上高は18,131百万円(前年同期比0.6%減)、営業利益は180百万円(前年同期比36.3%減)。
<電子材料事業>携帯端末需要の回復の遅れにより、主力製品である携帯端末向け機能性フィルムの販売量が減少(前年同期比11%減)、売上高は10,046百万円(前年同期比8.3%減)、営業利益は2,134百万円(前年同期比21.9%減)。
<その他>機器システム製品、光部品、環境分析の各事業が増収、売上高は963百万円(前年同期比17.3%増)、営業利益は68百万円(前年同期は0百万円の損失)。