日立金属の超極細銅合金線とその応用製品(発明者黒田洋光、黄得天、岡田良平の三氏)が、発明協会主催の関東地方発明表彰で特許庁長官賞を受賞した。表彰式は11月13日に浅草ビューホテルで行われる。
超極細銅合金線とその応用製品(医療機器用のプローブケーブルをはじめとしたケーブル)は、胃カメラや超音波診断装置などの医療分野で使われ、さらなる高精細画質の実現と、人体へのストレス低減が求められている。このニーズに応えるため、医療機器用のプローブケーブルを構成する極細同軸ケーブルの導体として、従来品(同社NN合金、線径:0.016mm)よりも細い超極細銅合金線を研究・開発した。一般的に、線径が細くなると、破断しやすくなるだけではなく、電気も流れ難くなる傾向にあるが、同発明では、超極細銅合金線の導体において銅に銀を含有させた銅銀合金を採用。そして、銅銀合金を超極細に伸線する過程で、二段階の特殊な熱処理で金属組織を制御することにより、従来では得られなかった高強度と高導電性を兼備する超極細銅合金線を実現した。
この超極細銅合金線(線径:0.013mm)を用いた極細同軸ケーブル(同発明品)は、高強度と高導電性を維持したまま従来比で約20%の細径化(例:0.205mm→0.165mm)を実現しており、低侵襲医療技術の発展へ貢献が期待されている。