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全高炉にデータサイエンス技術を導入 JFEスチール

全高炉にデータサイエンス技術を導入
JFEスチール

JFEスチールは、国内の製鉄所に保有する全ての高炉に最新のデータサイエンス(DS)技術の導入を推進する、と発表した。導入により、異常予兆の検知や、安定操業で重要な炉内の熱の状態を最大12時間先まで予測できるなどの成果が確認されている。今後、DS技術の活用を通じ、さらなる高炉の安定・高効率操業を実現し、生産性を格段に向上させる狙いだ。

高炉は鉄鉱石に含まれる酸素を除去し鉄を取り出す装置で、製鉄所のシンボルともいわれる設備。製鉄業にとってコストに与える影響が大きく、安定かつ高効率の操業が非常に重要になる。一方、高炉の炉内に装入する原料の性質などの影響で刻々と操業条件が変化する上、炉内を直接見ることができないという難点があり、安定的な操業にあたっては熟練オペレーターの経験や操業判断、各高炉においてそれぞれ開発・蓄積してきた技術に依存する割合が大きくなっていた。

同社では国内に保有・稼働する8基すべての高炉に、サイバーフィジカルシステムサイバーフィジカルシステム(Cyber‐Physical System、以下、CPS)化を目的としたDS技術の展開を進めている。CPS化とは、実際の製造プロセス(フィジカル)から収集したセンサデータをAIで解析して、独自の手法を用いてデジタル空間に高度な仮想プロセス(サイバー)を再現し、この2つをリアルタイムに繋ぐこと。仮想プロセスにより、現実では見えない設備の内部状態の把握や、将来の状態予測を行うことが可能になる。健全性の監視・異常予測の結果を実プロセスでの操業アクションにフィードバックすることにより安定な操業が実現できるほか、プロセスのネックが見えることで生産性向上も期待できる。さらに、仮想実験によるプロセス革新や、知識・ノウハウの機械化による技術継承・働き方改革へも繋げていくことができる。

同社は、全ての高炉のCPS化を進めており、従来困難であった高炉炉内の重大トラブルの起因となりうる異常の予兆検知や、安定操業において重要な高炉炉内の熱の状態を8~12時間先まで予測できる技術を開発・導入。さらに、予測結果に対する現時点での最適なアクションをオペレーターにガイダンスするシステムを構築し、安定操業および安定生産に向けた操業アクションに活用を始めている。また、今年度中に8基の高炉をデータハイウェイで繋ぎ、操業に関する全データを収集することで集中監視や操業技術の標準化・自動化を推進し、会社全体での高炉操業のレベルアップを図っていく。今後、高炉のみならず他のプロセスのCPS化を推進し、将来的なビジョンとして製鉄プロセス全体のCPS化を達成することで、革新的な生産性向上と安定操業をめざしていく。

高炉CPSの概念図
日刊金属

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