JFEスチールは、今まで目視が主流であった黒皮鋼材製造ラインの表面検査において、凹凸欠陥の発生を検出する新しい画像式表面検査技術を開発し、業界初となる検査の自動化を実現した、と発表した。
鉄鋼製品の品質向上は非常に重要な課題であり、欠陥の無い製品を顧客に提供するため、同社は様々な検査装置の開発に取り組んでいる。自動車用鋼板などに用いられる冷延鋼板では表面に発生する欠陥を検出するために光源とカメラを用いた表面検査技術による自動化を推進してきた。一方で、鋼管や厚鋼板など、表面を黒皮と呼ばれる黒い酸化膜で覆われた鋼材製品では、製品表面模様と凹凸欠陥の区別が難しく、熟練オペレータによる目視検査のレベルに匹敵する自動検査技術が確立されていなかった。
このため、同社は凹凸欠陥のみを強調し検出できる新しい技術ツイン投光差分型検査技術を独自に研究開発し、複数の黒皮鋼材の製造ラインへ導入した。黒皮鋼材の実用的な表面検査装置の導入は業界初となる。開発した
ツイン投光差分型検査技術は、欠陥が凹凸であるのに対し、製品表面の模様部分は平らであることに着目し、2方向から光を高速に交互に照射しながら撮像し、撮像された画像を差分(差を計算)することを特徴としている。2方向から光を交互に照射しながら撮像された2枚の画像では、凹凸は陰影のつき方により見え方が異なり、製品模様は同じようにみえることから、画像の差を計算することで同一に見える製品模様をキャンセル、凹凸欠陥のみを強調することが可能となった。
同技術はすでに知多製造所のシームレス管工場や東日本製鉄所(京浜地区)の厚板工場に導入し運用を開始している。導入した製造ラインでは、連続的に発生する凹凸欠陥の早期検出や、確実な凹凸欠陥検出による流出防止など、製品の表面品質向上に寄与している。また、知多製造所の溶接管工場や西日本製鉄所(倉敷地区、福山地区)の厚板工場へも、同検査装置の導入を図っていく予定だ。