JX金属(村山誠一社長)は、従来の課題であった3Dプリンターを用いた造形物の密度不足の課題を解決できる、金属3Dプリンター用純銅粉を開発した、と発表した。2020年の年頭を目途に、サンプル品の提供を開始する予定。
近年、複雑形状の造形が可能であることや、少量生産、オーダーメードにも対応できるという利点から、金属3Dプリンターの実用化の機運が上昇し、実際に航空分野や自動車分野、医療分野等での採用が始まっている。この一方、金属3Dプリンティングの材料となる金属粉の製造については、いまだ技術面での課題も多く、特に純銅粉を用いた3Dプリンティングは、造形物の相対密度が低いという点がネックになっている。
こうした課題に対し、新開発品は、粉体の表面に特殊な表面処理を施し表面の酸化を防止した。この特殊な表面処理を施した銅粉を用いて、電子ビーム方式で造形を行ったところ相対密度で99.94%を達成し、かつ仮焼結(造形の前工程となる予備加熱プロセス時に発生する銅微粉同士の固着)を抑制。この効果によって、微細で複雑な自由度の高い造形も可能となる。また、レーザーメタルデポジション方式での造形でも相対密度98.56%という高い結果が得られている。
今後、こうした優れた特性を生かし、新開発品がサーバー用のヒートスプレッダーや自動車用の水冷冷却ユニットなど、さまざまな用途向けに採用されることを期待している(同社)。
なお、今回開発した純銅粉は、12月4日から6日までの3日間、幕張メッセで開催される第6回高機能金属展に出展する予定。