JX金属(村山誠一社長)はこのほど、電子部品用として従来品よりもさらに高導電・高強度のコルソン合金の販売を開始した、と発表した。
通常、電子部品用の伸銅品は強度を上げるために合金化されているが、強度を上げるためには多量の添加元素が必要になる。また、導電性を上げるためには逆に添加元素を少量にする必要があるため、強度と導電性とは相反する関係にある。
同社は、長年培ってきた独自の合金開発のノウハウと、精密なプロセス制御技術により、高導電と高強度を両立するコルソン合金(銅にニッケルおよびシリコンを添加した銅合金)の開発・製造を行い、市場への供給を進めてきた。
近年、携帯端末の薄型化・小型化や電池の大容量化に伴い、コネクタ端子など電子部品用の銅合金には、これまで以上に高い強度と導電性が求められている。とくに、高機能化や急速充電による通電量増加や、コネクタ端子の小型化などに伴う、発熱量・消費電力の増加を抑制したいという要望が高まっている。同社はこうした声に応え、このほど新たに2種類の製品を提供する。いずれも代表的なコルソン合金のC7025に比べて優れた特性を有しており、顧客の個々のニーズにあわせて最適な合金が選べる。
主な特徴は次の通り。
通電量の増加に対応するコネクタ端子に最適な高導電コルソン合金NKC4820を開発した。C7025並みの強度(0.2%耐力:700MPa程度)を維持した上で、導電率を60%IACSまで高めた合金。このレベルの高強度と高導電性を併せ持つ合金は世界的に見ても類が無く、画期的な特性を有する合金。
高強度コルソン合金の強度を維持しながら導電率を改善したNKC1816をコネクタ端子用として、改めてラインナップに加えた。C7025を超える強度(0.2%耐力:820MPa程度)を持ちながら、導電率も50%IACSまで高めた合金で、高導電に加え高強度が求められる用途に適している。
なお、今回新たに提供する2種類の合金は、12月4日から6日の3日間、幕張メッセで開催される第6回高機能金属展で展示する。