日本鉱業協会は23日、東京都千代田区の同協会で新年1月度定例記者会見を開き、国内外の経済情勢や2020年度政府鉱業関係予算案・税制及び協会の活動、非鉄金属市況について、見解や見通しなどを公表した。小野会長は、今年1年の業界の景気の見通しについて語った。
2020年度下期に本格化するとみられる5G、IoT、CASE等、新しい時代に求められる需要の活性化があり、また半導体のなど分野から在庫調整が一段落したとの話もあるため、昨年よりは良いものになるのではないか。
小野会長をはじめ10名が出席し、資料をもとに会長が見解などを述べた。
(内外の経済情勢は)各国金融緩和によって行き場を失ったマネーが期待先行で動いていた感は否めず、中国経済の減速が引き続き顕在化している点から、以前世界経済は不安定な状況にあると認識している。
(国内経済について)2020年度上期もリスクオフモードが続けば、企業マインドの停滞や、それに伴う世界経済の回復の遅れといった懸念材料が発生し、景気の好転は見込めない可能性がある。
20年度下期に本格化する5G、IoT、CASE等の新しい時代に求められる需要の活性化への期待を込めていきたい。
また、鉱業関連税制では、金属鉱業等鉱害防止準備金制度が2020年3月末で廃止になる見通しのため、
自然災害が増大する中で休廃止鉱山の維持管理等に関し引き続き柔軟な支援が必要であり、業界として継続的に求めていきたい。
非鉄金属市況のうち、銅相場は、中東情勢への懸念の後退や米中貿易第一段階合意の完了により、
市場センチメントが改善し、6,200$/mt前後で推移している。
(亜鉛相場は)米中通商協議の第一段階合意報道で軟化傾向から脱出、年初に中東情勢緊迫による一時的下落はあったものの足許は2,400$/mt前後の値動き。
(鉛相場は)1月中旬に中東情勢への懸念後退や米中第一段階合意の署名完了で上伸する銅相場に追随し、足許は2,000$/mt前後の値動き。
(ニッケル相場は)(中国鉱業部門企業利益の2011年以降最大の落ち込みなどから12月上旬には7月以来となる13,000$/mt近辺まで値下がりしており)1月は他のベースメタルがかなり回復傾向にあるなか、ニッケルは上昇が限定的であり、足許14,000$/mt前後で推移している。
さらに、金相場は、次の通りとした。
今後は、中東などにおける地政学リスク引き続き相場お支える一方、第一段階の合意至り進展を見せている米中通商協議が売り材料となり、若干レンジを切り下げる可能性が高い。