三菱マテリアルの金属事業カンパニーは、既存の製錬技術開発拠点に、金属鉱山の選鉱をはじめとする資源技術の開発機能を加え、鉱業技術研究所(香川県香川郡直島町)を4月1日付で設立することをこのほど公表した。
資源獲得競争は近年激しさを増し、優良な銅鉱山の新規開発案件は少なくなりつつある。また、既存の操業鉱山では採掘深部化に伴う鉱石品位の低下や、銅精鉱中の不純物増加が顕著となっており、クリーンな銅精鉱の安定調達は厳しい競争にさらされている。
こうした環境のなか、同社は既存の鉱山における不純物除去技術の開発をはじめとする操業改善や、新規開発に対する評価体制の強化など、資源技術の強化、高度化を図るため鉱業技術研究所の設立を推進。直島製錬所内にある製錬技術開発センターに新たに資源技術者を配置し、同研究所として、金属鉱物の分析から採鉱・選鉱技術、製錬プロセス技術、金属リサイクル技術まで、一貫した技術開発体制を整えることとした。主な設備は、鉱物及び品位分析装置、選鉱試験装置、製錬試験装置、分析評価装置、リサイクル原料選別装置ほか。
金属鉱物に関する種々の技術課題に対して迅速かつ機動的に対応するとともに、産官学共同研究等を通じて国内外の最先端技術を積極的に取り入れることで、製錬技術の高度化と資源技術者の育成にも取り組むとしている。
同社は、三菱連続製銅法を有し、同法を利用したE-Scrap のリサイクル、環境負荷の低減等を進めており独自の強みを持っている。こうした製錬技術と資源技術の融合から創造される同社独自の技術資産を充実することにより、多様な鉱山案件に参画できる体制を強化するとともに、製錬・リサイクルプロセスにおけるマテリアルフローの最適化を推進し、持続可能な原料ポートフォリオの形成を目指す。
同社グループは、長期経営方針で
ユニークな技術により、人と社会と地球のために新たなマテリアルを創造し、循環型社会に貢献するリーディングカンパニー
になることを目指しており、
今後も銅をはじめとする素材、製品の安定供給を通して社会に貢献してまいりたい(総務部広報室)
としている。