8月亜鉛市況動向
需給ひっ迫感緩和
2,200ドル台で推移
独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)がまとめた2019年8月の亜鉛市況動向で、亜鉛需給ひっ迫感が緩和されたこと等により、ロンドン金属取引所(LME)の亜鉛相場は2,300ドルから2,200ドル台で推移した。
亜鉛相場は1日、2,396.0ドルでスタート。8月上旬は下落傾向をたどり、12日には3年ぶり安値となる2,239.0ドルをつけた。米国による対中関税引き上げ第4弾発動見通しを受けた景気減速懸念等を背景に銅が値下がりしたことや亜鉛需要への影響が懸念されたことに加え、中国製錬所での亜鉛増産で需給逼迫感が緩和していることが影響した。
中旬は、LME在庫が継続して減少しているにもかかわらず、2,260ドル台の安値圏で横ばいの状況が続いた。7月まで逆ざやにあった亜鉛現物価格と3ヶ月先物価格のスプレッドも拡大し、20日には2,226.0ドルの月内最安値へ下落。先物価格も2,240ドルでスプレッドは14ドルに拡大した。
下旬に入ると、Campo Morado鉱山操業停止の報道などから価格低迷による供給懸念が出たほか、在庫減など足元の需給逼迫感が意識され、スプレッドも逆鞘に転じ、亜鉛相場は緩やかに上昇。月末は反落し2,246.0ドルで月をまたいだ。
主要鉱山操業状況では、カナダのテルソン・リソーシズは、メキシコ・Campo Morado鉱山(年産4万5,000トン)の商業生産を2018年5月から行っていたが、亜鉛価格の低下や地域コミュニティとの長期にわたる関係不和等が影響し、21日に操業停止を決定。豪州ウッドローン鉱山(年産7万トン)は、2018年12月に試験操業開始したところ、その後選鉱施設建設工事の遅延により操業立ち上げが計画より7ヶ月遅れており、30日には追加出資が必要となることが明らかとなった。